全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法 ダニエル・シモンズ (著), クリストファー・チャブリス (著), 児島 修 (翻訳), 橘 玲 (解説)

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「カモ」の意味を説明しようとすると意外と難しい。
検索しようとしてもduckの鴨が出てきてしまってうまく探せない。

やっとの思いで探し出した定義はこうだった。

騙しやすい人。こちらの都合のままに財貨などを搾取できる相手。単に「カモ」などとも表現する。

「いい鴨」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書

ちなみに英語では「sucker」と言うらしい。

そんなカモに自分がならないための第一歩は、人間を都合よく動かそうとする心理テクニックの存在を認識することだ。「見えないゴリラ実験」や「プリンセス・カード・トリック」のように、実際に騙される経験ができる例や、それ以外にも「敵対的なコラボレーション」や「故意の盲目」といったキャッチ―な名前が付いた用語、その他人間の行動の癖など、興味深い内容が満載で非常に面白かった。バイアスの宝石箱や。

Z世代化する社会: お客様になっていく若者たち 舟津 昌平 (著)では不安に対抗するために知性を獲得する必要がある、と述べられていた。「z世代化する社会」で挙げられている不安は、まさに人間を都合よく動かそうとする心理テクニックの要素として語られていたものである。「z世代化する社会」では知性を獲得するして不安に対抗する方法に関しては詳述されていなかったが、「全員カモ」を読んで知性は自分自身を客観的に顧みるために必要なものだと感じた。自分の主張を盲目的に信じるのではなく、本当に正しいのだろうかと立ち止まって考えるフックになるし、判断材料にもなる。知性・知識があるからと言って完璧に正しい判断ができるわけではないが(そもそも正しさって何かわからんし)、少なくとも精度は上昇するだろう。

心理テクニックを仕掛けられていると認識することで、客観的に自分を見つめることができ、安易にズルいやつらに騙されなくなるはずだ。知は力なり。

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